にゃびが旅立っていって一年

元気だったころ


今日は、お姫様猫・「にゃび」の命日です。

「この世で もっとも高いところ」に行ってから、
もう丸一年が過ぎました。
早かったような、長かったような──。

「かわいそう」は言わないで - 亜細亜ノ蛾 - ダイアリー


自分が住んでいるアパートには、小さな庭があります。

こういう時には、「猫の ひたいのように小さい」と
言い表わすものですよね。
でも、意外と猫の ひたいって、広かったりする。
それとも、どこまでが おでこなのか分からないだけ?

同じように──、
ガーデニング好きなオカンが植えた植物たちは、
あきらかに となりの庭を侵害しつつ、
縦横無尽に伸びまくっています。


その畑の中に、にゃびは眠っている。


「衛生的に、どうなん?」
とツッコミを入れられそうですが、最近見た彼女は
すっかりと「まっ白な姿」だったので、
よろしいのでは ないでしょうか。
(近所のノラネコの しわざだと思う。埋め直した)

その「お墓」に、毎日 お墓参りをしています。
雨の日も風の日も、地面が大きく揺れた日も、
「にゃび」と「くろ」に あいさつをしている。


とくに「くろ」は、こっちの世界では
あまり かわいがってあげられず、
向こうの世界へ旅立ってからのほうが、
ずっと よく話しています。

くろ、ありがとう - 亜細亜ノ蛾 - ダイアリー


自分もオカンも、みんなみんな、
いつかは旅立つ日が来る。
その時が来るまで、しっかりと生きていきます!

トロが逃げていった日(の思い出)

プロローグ──(終わりと)始まり

羽の生えたウサギのように、
急ぎ足で 1 月は飛び去っていった。
新顔の 2 月が来たばかりの今日、
考えたくなかったことが起きる。


自分の家族である猫が家を出ていったのだ。

第 1 章──幸せな日々(だった)

朝 5 時ごろ、友だちに呼ばれた。
深夜まで働いているその友人とは、
いつもこれくらいの時間に会う。
24 時間が自由な自分は、ちょうど寝るころだ。
眠い目とゆるんだ口元で、友だちに会う準備をする。
友だちは少ないほど、会える機会は楽しくなるものだ。


アパートを出ようとすると、
うちの殿様ねこ・トロも、一緒に出たがった。
何しろ甘えん坊な子なので、
いつも抱きかかえて一緒に外へ出る。
すると、すぐにブルブルとふるえ出してしまう。
最初は寒いのかと思っていたが、玄関から離れるほど、
明らかにふるえかたが大きくなる。
家からせいぜい 5 メートルが、彼のテリトリィだ。
内弁慶なのは、誰に似たのだろう?


最近は、玄関から数メートルの場所まで続く
コンクリートの床で、トロは遊ぶようになった。
そこから先の駐車場へは、絶対に行かない。


そのはずだった。


今日もトロは、コンクリートに体をこすりつけて、
気持ちよさそうにゴロゴロしている。
見方によってはトロというよりも、
岸に上げられたサケみたいだ。
どうせ、あと数分でこわがって家に帰るけれど、
よい気分転換になるだろう。


友だちも待っているし、
トロを家に入れようかという時に──、
ちょうど新聞配達の人が来た。


自分もビックリしたが、その何倍もトロは驚いた。
全身が警戒の態勢になり、目の色も違う。
あわてた彼は、2 階への階段を上っていく。
このころはまだ、自分も笑ってトロを追いかけていた。
ところが、なかなかつかまらない。
だんだんと焦ってくる。


階段を早足でかけおりて、
とうとう駐車場へとトロは逃げ出した。
そして、隣の家の庭へ行ってしまう──。

第 2 章──早朝の隠れんぼ(はしたくない)

トロの首につけているスズの音が、
隣家から聞こえてくる。
しかし、彼の姿は見えない。
このかすかな音だけが頼りだ。
まだ近所では家の明かりが消えているから、
小声でトロを呼ぶ。


トロがいるのは他人の家の庭だし、
自分が勝手に入るわけにはいかない。
それに、追えば追うほど、彼はこわがってしまう。
どうしたものか──。


そう言えば、自分の母親がトロを呼ぶ時には、
彼のご飯を入れている皿を、指で鳴らしていた。
いつか見たテレビのコマーシャルみたいだ。
さっそく、家から皿を持ってきて、音を出してみる。
すると、先ほどよりは良い反応があった。
自分よりは、食べることのほうに興味があるようだ。
ちょっとショックを受ける。


ただ、トロは近寄ってきても、すぐに逃げていく。
自分のことを、あやしい人だと思っているのだ。
自分も、そう思う。

第 3 章──いつも自分ひとり(だと思い込む)

そうこうしているうちに、友人からメールが来る。
長い間、自分から連絡がなかったからだ。
かんたんに返信すると、心配して友人が来てくれた。


その友だちは何度かトロに会っているけれど、
まだ一度もトロは近づいていかない。
ぜひとも 2 人には仲良くなってもらいたいが、
自分にキューピッド役はつとまらなかった。
そのため、いま来てもらってもトロは逃げるばかりだ。
非情に申し訳ないが、友人にはいったん帰ってもらう。


さらに、母親も起き出してきた。
ここ数年はいつも早朝に、母は散歩へ出かける。
雨の日も風の日も散歩を続ける母から、
自分は丈夫な体をもらった。
母には、感謝の言葉しか出てこない。


いつもは母と仲が良いのだが、よりによって最近は、
ほとんど会話がなくなっている。
冷戦状態だ。
それというのも、自分がいつも家にいるからだろう。
トロが逃げたことを母に説明すると、あきれていた。
当たり前だ。


トロではなく、この自分が出ていけばいいのに──
と母は思っているのかもしれない。
明るくなるまでは見つからないと判断して、
母は散歩へ行ってしまった。


さいころの自分を育てるため、
働きに出かけていくお母さんの姿を思い出す。
母には苦労をかけてばかりだ──。
いつも、ひとり残された部屋でそう思っていた。
いまも、ひとりでトロを追う。


──いつも、自分はひとりで生きてきたのだ。
──いや、自分ひとりで生きようとしていた。


誰の助けも必要とせず、誰から好かれようともせず、
自分・自分・自分のことだけを考えている。


そのはずだった。


トロが帰ってくるように、誰か助けてください──
といつの間にか祈っている自分に気がつく。

第 4 章──逃げていく幸せ(と体温)

それにしても、ここまでこわがるのは不思議だ。
トロとは、いつでもどこでもいっしょだ。
最近は寒くなったためか、夜になると、
自分の腕にしがみついて寝ている。
それなのに──。


もしかしたら、暗くて自分の顔が見えないから、
恐がっているのだろうか。
明るい場所でトロを呼んでみたが、反応は変わらない。


トロを逃がしてから、1 時間ほどすぎた。
いまだに、つかまえられる自信はない。
あまりにも寒くて、体調を崩しそうだ。


国道 1 号線からそれほど離れていないのに、
このあたりは夜になると、かなり静かになる。
静かさだけは、高級住宅街にも勝っているだろう。
でも、そろそろ遠くで車の音も聞こえてた。


──道路にあふれかえる自動車は、
──誰を幸せにして、
──誰を不幸にするのだろう?


こういう時には、よくない考えばかりが頭に浮かぶ。
何匹も猫と一緒に暮らしてきたが、
天寿をまっとうしたのは、にゃびだけだ。


自分の普段の行いが悪いのだろうか──。


とくに近ごろの自分は、怠惰の極みだ。
褒められたものじゃない。
それでも、そこには自分だけの幸福があった。
ほんの 1 時間ほど前までは、幸せだったのだ。
トロさえいれば──。

第 5 章──(悪い)夢の終わり

しばらく、トロとの距離を離してみる。
すると、いままでとは違う方向から、
スズの音が聞こえた。
──上からだ。
極度におびえた猫は、空すら飛ぶのだろうか。


自分が住んでいるアパートの隣に、
まったく同じ作りの建物がある。
トロは、そちらを自分の住まいと思い、
階段のところへ迷い込んでいたのだ。


今度こそ逃がさないよう、慎重に近づく。
ただし、相手に緊張感が伝わるとダメだ。
動物的な本能で、逃がしてしまう。
ナンパと同じだ。


そして──やっとつかまえられた!


トロを抱きかかえたまま、急いで家へ戻る。
ちょうどその時に、また友人が心配してやってきた。
こわがったトロが、ものすごい勢いで暴れ出す。
まるで、コントみたいだ。
しっかりとトロを離さずに、無事に家へ帰した。


いつも喜びはトロと分け合っていたけれど、
今回は友人と分かち合えた。
非常にありがたい。
散歩から帰ってきた母に報告すると、
意外にもまったく怒られず、一緒に喜んでくれた。


自分は、ひとりではなかったのだ。


「母親とトロと友人の愛。
これだけ残っていれば、気を落とすことはない」
──ゲーテの格言より(ちょっと改変)

エピローグ──(いまごろ)登場人物の紹介

ということで、今となっては笑い話になりました。
もしも、あのままトロがどこかへ行っていたら──
と想像すると、ゾッとするけれど。


ところで──、
上のほうに出てきた「新聞配達の人」ですが、
じつは、そのおばさまからトロをもらったのです!
つまりトロは、自分の育ての親にビビっていた。
ミステリィ・ファンの自分にふさわしい
「どんでん返し」なオチであ〜る(オチてないよ)。


振り返ってみると、
おばさまも、自分の母も、友人も、自分も、
みんなみんな──、トロが知っている人たちです。
どんだけ恐がりなんだよッ!


トロ: 「いや、でもほら、シチュエーションによって、
人の印象って変わりますよね(キリッ」

【散文】夢のデザイナと死と使徒

「オレは夢を──夢を見ていたんだ……」
ということで(?)、今日は 1 日中寝ていました。
そろそろ、本気で働かないとマズい!
──という時に寝る気持ちよさよ!
(※良い子はマネしないでください)


1 時間ほど寝ては、2 分間起きる。
そんな眠り方をしていたら、面白い夢を見ました。
夢を見るたびに、世界観が違うのです。
いや、「世界」そのものが変わると言ってもいい。


他人が見た夢の内容をダラダラ聞かされても、
なんのこっちゃ分からないと思うので抽象すると、
「学生時代のやり直し」ネタが多かった。
舞台は小学校や中学校で、登場人物も同級生が多い。
でも、オトナになってから知り合った人もいる。
ほとんど忘れていたような人が、
当時のままの姿で登場するのが面白い。


以前には、夢を見ている時に、
「これは夢だ!」と気付くことができました。
ところが最近は、その能力がなくなったみたいです。
夢の中の自分は、普段通りに、
のらりくらりと生きている。
現実と夢との境界が、
だんだんと薄らいできたのだろうか……。
参考: スクールルーム・バスルーム・ドリーム - 亜細亜ノ蛾 - ダイアリー


最近の夢の中には、5 年間ほどお付き合いした
「ぼんやりガール」の A さんがよく出てくる。
夢の舞台では、自分のカノジョという役割ではなく、
映画で言うところのエキストラとして登場します。
そして、いつの間にか消えていく。
この控えめな存在感は、あの人に似ているかも。
自分の夢を監督している人は、
下で書いたような、甘ったるい描写をやめたようです。
夢のカノジョは甘えたガール - 亜細亜ノ蛾 - ダイアリー


「夢の監督」とは何か?


一説によると、夢というモノは、
思い出の焼き増しでしかないらしいです。
つまり、知っている人・見た光景・体験したこと──
それらがデタラメに合わさって出てくる。
これには、ちょっと疑問がありますけどね。
明らかに、見たこともない場所にいたりする。


自分は毎日、にゃびのお墓に手を合わせています。
そのたびに、彼女に向かって
「自分がそっちに行ったら、一緒に暮らそうね」
と声をかけている。
でも、「あっちの世界」で彼女が見つかるか、
いまから不安です。
「かわいそう」は言わないで - 亜細亜ノ蛾 - ダイアリー


そこで思ったのが、「死後の世界」というのは、
「夢の世界」みたいなモノなのではないか。
これは「すばらしいパラダイス」という意味ではなく、
自分が知り合った人や思い出の場所しか存在しない
ということです。


映画の『インセプション』には、
夢を設計する「デザイナ」が出てきます。
機器を使って他人の夢を支配する際に、
違和感を持たれないように「夢の世界を創る」。
これって、言ってみれば神の立場ですよね!


上で書いたように、
夢は自分が知っている範囲しか出てこない。
そのはずだけれど、
どうも見たことがない場所にいたりする。
これは、神(のような存在)が、
夢を設計しているのではないか。
そして、この世で命がなくなった人は、
その設計者(たち)が作った夢を、
永遠に見られるのでは──。


以上をまとめると、
MacBook Air 11インチ欲しい!
ということですね。
(※キャンペーンへ応募するための呪文)

とら年生まれの男 2 人で街からはみ出す

昨日は、久しぶりに男友だちと会いました。
そう、普段は女の子と猫と
オレとオレとオレのことしか書いていませんが、
こんな自分にも親しい友人がいる。
なんともありがたい話です!


その親友── M くんと自分は、いまから 10 年前、
同じゲームセンタで一緒に働いていました。
仕事が終わったらほぼ毎日、M くんたちと
朝までカラオケで歌ったり、酒を飲みに行ったり、
すき家」で牛丼らしき物を食べたりしていましたね。


お互いに将来のことをバクゼンと不安に思いつつも、
目の前のことだけを、猫のように楽しむ毎日があった。


昨年に全国デビューした「なほべ」さんも、
同じゲームセンタの店員です。
本当に、面白い人たちがいたなぁ……(遠くを見る)。
友人が作詞で全国デビュー! MACK 『Call it life』 - 亜細亜ノ蛾 - ダイアリー


M くんは歌が上手です。
自分はいつも、彼の歌に聴きほれていました。
彼のおかげで、自分も「ホゲー♪」だったのが
「ボエ〜〜〜♪」くらいにはうまくなった(?)。
いまでは考えられないけれど、自分はそのころ、
サザンオールスターズ椎名林檎さんが持ち歌です。
こんな顔をして、「歌舞伎町の女王」を熱唱していた。


うん、それ、犯罪。


M くんの弟さんには、子どもができていたそうです。
(※注: 弟が産んだわけじゃない)
見せてもらった写真には、
M くんの「おい」にあたる子たち 2 人(5-6 歳?)と、
彼らよりも小さくしゃがんだ M くんが写っている。
そこで、「すごい、もう M くんより成長してるね!」
会心のギャグを思いついたのだけれど──、
言う前に笑ってしまった。
この手の冗談は、絶対に真顔で言わなければダメです!
やっぱり、「べしゃり」のテクが落ちているなぁ。


お酒を飲みに行ったのは久しぶりでした。
──というか、
去年から外で人と会ったこと自体が数日しかない。
オカンと猫以外では久しぶりに人と話したので、
口のすべりが悪かったですね。


相手が女の子だったら、もっと口からテキトーな
言葉(口説き文句)があふれ出てくるのだけれど。


ビール・生(中ジョッキ)を 2 杯と
ジン・トニックを 1 杯「も」飲んでしまい、
帰ってきたら速攻で一眠りしました。
あれから 5 時間くらいたったのに、
脳がじんじんじんしながら日記を書いている。
とら年生まれだけに、見事なトラっぷりですね!
(お若い人たちへ: 大酒飲みのことをトラという)


そう言えば、M くんも自分も、とら年生まれです。
お互いに二度目の「年男」を去年に迎えました。
2 人とも、「それぞれ別々の理由」で独身です。
たぶん、未来でも同じ。
M くんは容姿がイケていらっしゃるから、
女子が見たら mottai-nai!! と叫ぶでしょうね。
ひとにはそれぞれ、事情があるのじゃよ……。


彼も自分も、一般的な人生を歩めない。
10 年前とぜんぜん変わっていない 2 人だけど、
将来への不安感は一段と大きくなりました。


ところが、自分にピッタリの仕事を
M くんから教えてもらいました。
自分でも、それしかないと思うくらいです。


そこで、このツボと数珠を購入いただくと──、
ではなくて!
超絶画像処理ソフトの Photoshop を使った、
自分には「ちょちょいのジョイやで!」な仕事でした。
その道を本気で探そう!


一生、気が合う人とだけ会って、
Photoshop と女の子と猫だけ触って生きていたい!

絶対に笑ってはいけない洋館

某・大好きなテレビ番組とは無関係の、
三国一くだらない小説を書きました。
構想 15 分間(夕食を食べながら)・
執筆 1 時間の超大作をどうぞ!

1

生まれてこの方、私は笑ったことがない。
なにしろ、生まれた瞬間には泣いていたほどだ。
──というくだらない自分のジョークにも笑えない。


それが役立つ日は、突然やってきた──。

2

気がつくと、私は洋館の庭にいた。
会社の同僚たちが数十人と、妻もいる。
みんな、目を覚ましたばかりのようだ。


ご丁寧に、入り口には看板が付けられている。


「絶対に笑ってはいけない洋館 〜羊羹よう噛んで〜」


くだらない。じつにくだらない。


しかし、その看板を見たとたん、
「箸が転ぶ姿を想像して一日に三回は笑う」
と評判(どんな評判だ)の新入社員・
赤川が笑い出した。
つられて数人が笑う。


──笑った全員が、次の瞬間に倒れた。
元・医大生の笠井が、手早く容体を看る。


死んでいる──らしい。


とくに興味はないが、信じるほかはないだろう。

3

洋館の入り口を開けると、どこからか、
しわがれた声が聞こえてきた。


「やあ、みなさん。ゲームを始めよう。
この館に入ったら、もう笑ってはならない。
笑えば──、即座に死ぬ」


このしわがれ声が、館の主(ぬし)だろうか。


「赤坂たちが死んだのは、館の外だぞ!」
すかさず、佐藤が反論する。
「──あ、間違えた」
一瞬だけ素に戻った主の声を聞いて、
──佐藤は笑いながら死んだ。

4

無遅刻無欠勤無笑の社内記録を打ち立てて、
いつの間にか私は部長になっていた。
真面目を絵に書いたような(どんな絵だ)私の性格に、
美人な妻は惚れたらしい。


──本当に妻が惚れているのは、
私が持ち帰る給料袋だろう。
社内で私のことを、笑い袋ならぬ「笑わない袋」と
揶揄する者もいる。
くだらない。3 の倍数の時以外もくだらない。


──妻とは、世間体のためだけに結婚した。
──その妻が、足もとに転がっている。


3 番目の部屋で「土下座するエビ」を見て、
妻は大笑いしだしたのだ。
まったく、意味が分からない。


しかし、さすがに暗い気持ちになった。
こんな気分になったは、
社内食堂の B ランチが嫌いな酢豚だった、
先週以来だ。

5

次々に、私たちを笑わそうとする人物が出てきた。
どうやら彼らは、私たちが笑わないと、
死んでしまうようだ。
何人かに事情を聞いたが、誰も何も知らないと言う。


「笑わせ人」たちは、同僚たちを笑わせたとしても、
けっきょく館からの脱出法が分からない。
そのため、今度は「笑ってはいけない」側につく。


名前のわりには発言を「慎」まない男やら、
いま人気絶頂(らしい)のお笑い芸人やらが
何人か出てきて、私たちを笑わせようとする。


しかし、芸人自身が自分の話に笑ってしまい、
死んでしまった(彼らも笑うと死ぬのだ)。
その、彼らの最後にして最高の芸を見て、
高田が、中島が、花村が、松本が、
山口が、蘭が、和久が──、
同僚が何人も笑顔で死んだ。


その間も私は、
「妻がいないから、今夜は久しぶりに外食にしよう」
などと考えていた。
くだらない。○○王子と呼ぶのはくだらない。

6

最後に残ったのは、私ひとりになった。
残った部屋も、最後のひとつらしい。
扉にそう書いてある。


「おわりの部屋 〜名古屋とちゃうで〜」


いっさいを無視して扉を開けると──、
そこには、いままで死んだはずの全員がいた。


「誕生日おめでとう、あなた!」
「ハッピィ・バースデイーーー!」
「おめでとうございます、部長!」

7

──そうか、今日は私の誕生日だった。


これまでのできごとは、すべて、
妻と彼らの仕組んだゲームだったようだ。
私が、笑うかどうか──。
たぶん、何人かは金でも賭けていたに違いない。


ゲームの終わりを満面の笑みで飾る彼らを見て、
私は──、


ニコリともしなかった。


くだらない。西日本一くだらない。
こんなことをして、私が喜ぶと思っているのか。


いつも以上に仏頂面(部長だけに)の私を見て、
彼らの表情もこわばっているように見える。
──なんとも不自然な笑顔だ。

8

しばらくして、例のしわがれ声が聞こえてくる。


「おめでとう。君だけが最後のゲームにも勝った」


その声を合図にして、私以外の全員が、
──いっせいに死んだ。


「妻」の顔から、非常に良くできた変装マスクを外す。
笑顔がこわばっていた理由は、このマスクだったのだ。
このトリックはくだらなくない、とすこしだけ思った。

9


やれやれ、くだらないゲームは終わったようだ──。
いつもと同じように鉛のような重苦しい表情をして、
出口をくぐった私の目の前にあるのは、


「絶対に笑わなくてはならない和館」

友人が作詞で全国デビュー! MACK 『Call it life』

本日、「音もダチ!」(古)な自分のお友だちが、
全国デビューを飾りましたー!
どんどんどん、ぱふぱふ〜!(古)


アーティストの MACK さんが発表した曲である
『Call it life』の歌詞を書いた人──
「なほべ」さんが、自分のお友だちです。
彼女の名前をこのような形で紹介できるとは、
身に余る光栄です(とくにお腹まわりが余ってる)。


MACK さんのサイト上に、曲の歌詞が載っています。
じつは最近、なほべさんが高校生のころに書いた
『Call it life』の歌詞の原文を見せてもらいました。
彼女を知っている人なら、その原文の詩にこそ
「なほべらしさ」が現れている──と分かるはず。
エエ感じにドロッと黒い部分が出ています。
全宇宙デビューをした歌詞は、
オブラートやらビブラートやらで甘く包まれている。


──あ、すみませんすみません!
そんなママゴトみたいなタワゴトは置いておいて、
くわしくは、下のリンクから DVD 付き CD を、
100 枚ほど注文してご確認ください。
まずはそれからだ──。


  • CD の情報:
    • 発売日: 2010年12月8日(水)
    • タイトル: Call it life (CD + DVD 2 枚組)
    • アーティスト名: MACK
    • 価格: 1,500 円 (税抜き価格: 1,429 円)
    • 商品番号: MMSC-002
    • JAN コード: 4562286410103
    • 発売元: MARVELOUS MUSIC
    • 流通: タワーレコードディストロビューション

昨日は今年で一番の HAPPY DAY!

最近はヒキコモリな毎日を送っていて、
ご自慢のカメラを向けるのは、愛しのトロばかり。
Toro the cat - 写真共有サイト「フォト蔵」
トロだけに腹回りが脂たっぷりの彼も良いけれど、
できれば自分と同種族のおにゃのこが撮りたい──。


ぬくぬくもふもふとした日々の中、昨日は、
毎度おなじみのメイプル名古屋店へ行ってきました。
仲良しのコスプレイヤさんを撮らせてもらったのです。
気がつくと、人物を撮影するのは 2 か月ぶりでしたね。
前回: メイプル名古屋店バター得れぽ - 亜細亜ノ蛾 - ダイアリー


久しぶりのポートレイト撮影とはいえ、
何度か撮らせていただいた人だし、慣れた場所なので、
リラックスしたムードの中で撮影できました。
相手は楽しい女性なので、
いつも以上にテケトーな言葉がオレの口から出る出る!
とはいえ、そういうときにこそ油断は禁物です。
「親しき仲にも礼儀あり」を心がけました。


個人的な撮影でもイベントでも、
終わったあとはすぐに帰ることが多いです。
昨日は珍しく「アフタ」へ行きました。
名古屋駅前(裏?)のごっつええ場所にある
デニーズで楽しくお食事です。
ここでも口からでまかs ──
真実の言葉たちを贈り続けましたね。


コスプレや撮影の話はもちろんとして、
音楽や趣味の話などを楽しみました。
初めてお会いしたのはほぼ一年前ですが、
イベント会場でしか話さなかったのに、
お互いに「恋バナ」なんか語ったりしました。
まるで、ずっと以前からの友人みたい。


相手の方の不思議な恋愛話はミステリアスで、
小説よりも面白かった。
誰にでも不思議な体験はあるものだし、
恋の形は十人色だけれど、
昨日の話は心のベストテン第一位だった。


話せば話すほど、
自分には感情が欠落している部分がある──
と分かって面白かったですね。
「喜怒哀楽」で言うと「怒」がほぼ 100% ない。
「哀」の感情が出るのは、映画を観て泣く時と、
身近な人や猫が去っていった時だけです。
本当に「きらく」な毎日を送っている。