たとえ夢の世界でも

この世から旅立っていった猫と、夢のなかで会った。


歴代の猫たちが出入りしていた台所のサッシから、
元気に入ってくる影が見える。
その白いシルエットは、間違いなくトロだ。
でもしかし──、
自分は彼が帰ってこないと ほぼ確信している。*1


こういう時に自分は、夢を見ながら
「これは夢だ!」
と気付くことが何度もありました。*2
最近では その能力(?)は使えなかったけれど、
今朝は何となくおかしいな──と思ったのです。


そこで試しに今回は、
「自分の手を見て判断する」
ということを夢の世界で思いつく。
自分の手ほど多く見てきた物はないからだ。
顔よりも多く見て触れてきた。


そして手のひらと手の甲を何度も見たり、
手と手をすり合わせたりして、ようやく
「これは夢じゃない!」
──と断言した。夢のなかで。


さっそくトロを可愛がろう。
そう思って彼を引き寄せると、
なんだか様子が おかしい。
つい先ほどまでは白い毛並みだった猫は、
いつの間にか茶色いトラ模様になっている。
トロがトラに──これいかに?


──そうか、これは にゃびだ。
1 年以上が過ぎて、彼女が成長した姿なのか。*3
小柄だった彼女は、目の前で丸々としている。
姿形は変わっても、魂は変わらない。
にゃびだと信じて つかの間の交流を楽しんだ。


今日の朝に見た この夢が、今年の初夢です。
正確に言えば、ハッキリ覚えている夢を初めて見た。
「トロかと思ったら別の猫だった」夢は、
なぜか何度も見ています。
たぶん、小さいころは白かった彼が、
日に日に模様が浮き出てきたから、
その印象が強く残っているのでしょう。


この夢は、何かを意味しているのだろうか?
そもそも、夢には意味などあるのだろうか?
うしろ向きにも前向きにも取れる夢だった。


ただ一つ言えることは、たとえ夢の世界でも、
彼ら・彼女らに会えて良かった。
盆や正月くらいは帰っておいでよ!