ハート形の雲

夜明けの晩に
鶴も亀もいないけれど
空にはふわふわと
ハート形の雲が浮かんでいたよ


「ふたりの未来が飛んでいるね」
とぼくが言うと
「未来は目には見えませんよ」
ときみがとぼける


夜明けの晩に
鶴も亀も寝ているうちに
空にはぷかぷかと
ハート形の雲が消えかけているよ


「さよなら」のかわりに
口づけしながらふと考える
あれはだれの心臓なのか
あれはだれかの心の像か