『へルター・スケルター』岡崎京子・著 読了

凄まじい作品だ──! いままで読んでいなかった自分に絶望した!

全身整形手術で極限の美貌を手に入れた女性の苦悩と衰退──なんて簡単にまとめられる話ではない。

モデルの女の子が出てきたり、出てくるひと全員がそうそう簡単に幸せにさせてくれなかったり、エログロなところは『リバース・エッジ』あたりを思い出させる。

とにかく、りりこが強い! しかし、ものすごくもろいところもあって、まるでダイアモンドのようだ(ダイアモンドは砕けない、ということはなく、普通の金づちでもたたく角度が合えば砕ける)。

芸能界や美容業界に対するアンチテーゼ、のような描写が多く出る。しかし、それらは全て「如何にりりこを追い込んでいくか」という方向に向かっている。岡崎京子は、容赦ない。

主人公・りりこに《何》があって、過剰なまでの《美貌》を手に入れるための苦痛に耐えてきたのか──軽く一読しただけでは解らなかった(たぶん、自分の読解力不足だろうが)。それが、逆にりりこについて考えさせられた。

読み終わると頭がぼーっとした(りりこのように?)。じんせいって、なんだろうね?

最後の方にいつもある後書きページの代わりに、岡崎京子さんの交通事故についての記述があった(もう、十年か──)。ファンのひとりとして当然知っていたが、改めて読むと──胸が締め付けられる。ヒイタヤシハシネバイイノニ。