すり切れていく恋

数十億の忘却の向こう側、
先週のこと──。
駅のホームへと向かう、
男子中学生を見た。


彼のカバンの底に、
恋人らしき女の子の名前──。


彼女をオンブするかのように、
背負われてたカバン。
まるで恋心の看板。


砂漠でおしるこをすするような、
熱い暑い甘ったるさ──。


でも残念なのは、
いつでも消せるように、
チョークで書いてあったこと──。


いつかは書き直される恋。
本当に望むのは──、
いつでもかき乱される心。