5 秒後の未来

目を閉じて、軽く念じる。
それだけで、ボクには 5 秒後の世界が見える。
──すごい!

そう喜んでいた自分は幼かった。
何も良いことはない。
たとえば──。

「事故が起きるのを予知して防いだ」
という SF モノで定番の状況にもならない。
たまたま事故の 5 秒前に目をふさぐ、
なんてムリだ。

「恋の告白がうまくいくかどうか」
なども分からない。
「目の前で突然目をつむる変な男」
を見た女の子の反応が見えるだけだ。

当然、宝くじの当選も分からない。
──とにかく、5 秒では、短すぎるのだ。



この能力の意味も分からないまま、
人生も曲がり角を通り過ぎた。
ところが、急に能力の使い道を思いついた。
それは、

(この続きは、目を閉じて軽く念じてご覧ください)