見えない彼女

彼女は、ボクだけが見られる。触れられる。
ほかの人には、彼女は見えない。触れないのだ。
誰とでも会話はできるようで、そこだけが不満だが、
何しろほかの人間の目には、彼女は映らない。
幽霊と思われるだけだ。

いったい、いつからこうなったのだろう。
何のために──誰のために──。
もしも神様がいて、ボクのためにしてくれたのならば、
──アナタは、誰よりも残酷だ。



──────

私は──
私は、幽霊になってしまった。
誰にも気付いてもらえない。
話しかけても、怖がられるだけだ。
でも──。

誰からも気にされない生活は、すぐに慣れた。
いままでの人生と変わらないからだ。
私をさんさんいじめた■■子を■したけど、
誰も私のことだと気がつかない。気がつけない。
好都合だ。

いったい、いつからこうなったのだろう。
何のために──誰のために──。
もしも神様がいて、私のためにしてくれたのならば、
私からは見えないし、声も聞こえないのに、
ただ一人だけ私に触れられる、
あの人は、何かの罰ですか?