石けんに目覚める

高校生のころ、急にファッションと美容に目覚めた。
そのおかげで、
「工業高校を卒業後にファッション専門学校へ入学」
という、高校始まって以来の進学をしたのだ。
専門学校では落ちこぼれて、一年で自主退学した。

それはそれとして、
高校時代から化粧品が好きだった。男なのに。

初めて買ったシュウウエムラのローションが
4,000 円だったことを覚えている。
──すぐに使い切ってしまったなぁ……。

それからは海外のブランドにハマる。
アラミスを買いに名古屋まで電車に 40 分揺られ、
地元にクリニークができれば常連になった。
いままでで 1 番良かったブランドは、
市販品ではない某 A 社だ。今でも好きである。

しかし──、
最近になって、なにか急に疲れた。

いまでは、石けんで全身を洗っている。
そのへんのドラッグストアで買った石けんだ。

するとどうだろう。
あれだけ悩まされた肌荒れが、なくなった。
風呂上がりもサッパリとする。

毎日お化粧をする必要がある女の子には、
ちゃんとしたメイク落としが必要だろう。
しかし、自分には、
石けんとテケトーなローションで十分である。

──いままで つぎ込んできた化粧品代は、
なんだったんだろうか……。
ムダなことを積み重ねることが、
自分の人生だった気がする。