ハンター再読中

昨日と今日は連休だった。世間と同じく休みなのは珍しい。──が、寒いし予定もないので家でダラダラ。

『HUNTER × HUNTER』を読み返しているが、実に面白い。何回でも楽しむことができる作品で、いくらでも深く読み込むことができる。行間(コマ間)を読む、という能力を普段から磨いていないと、この作品の真価を味わえない。そういう意味で、読む人を選ぶ作品・作家でもある。

特に素晴らしいのが「緊張感」がしっかり描かれていること。1 巻から「世の中には危険なことがあり、危険な人物がいる」ことが繰り返し書かれている。それは他の作品──いわゆるバトルマンガでもよくあることだが、ハンターでは「敵、あるいはまだ敵か味方か判別できない者」同士が接触する描写に神経が行き届いている。

いまのジャンプマンガ以外はよく知らないが、この「緊張感」を描いているマンガは少ない。大前提として「主人公と仲間達は死なない」というのがあるのは当然なのだが──あまりにも露骨だと、作中に作者というか編集部の人間が見え隠れしているようだ。

何度も書いているけど『ワンピース』や『ナルト』はこの緊張感が全く味わえない。『ナルト』は脇役がバンバン死んでいるのに、メインキャラは平気で後ろを取られている。「サスケが主人公チームに対して決め技を出そうとするとオロチ丸が瞬間移動して来て止める」とか。それができるのなら、後ろから斬ることも簡単だろう。

ハンターではこのあたりの緊張感の演出が頭抜けている。気を抜くとやられる──というのが絵から伝わってくる。この演出があってこそ、ギャグやおちゃらけた表現が生きてくる。──ん? というかこういった緩急の付け方は、物語作りの基礎の基礎だと思うけどなぁ……。

なんというか、最近のバトルマンガは「如何に格好良く必殺技を見せるか」しか考えていないように見える。つまりは「総ボーボボ化」と言えよう。「総星矢化」でも可(ソーセージみたい)。