恐がりカミングアウト
実は、恐がりだ。
寝る前に、ベッドの中で必ず「ベッドの下から幽霊が出てくる」想像をする。
そういう、「いつの間にか部屋の中に《何か》がいる」系の想像は、一日に何度もする。
きっと、子供の頃の《何か》が原因だろう。
ただ、昔の記憶をいくらたどっても、夜や闇に関して恐怖を抱いたことはない、と思う。
子供の頃、片親になってから、母親は毎日仕事に出かける(今気付いたけど、一時期、休みの日が無かったように思う)。
アパートの狭い部屋に、子供が、独り。
──まぁ、これが映画だったら「オバケの友達」とか何かが出てきそうだが、あいにく、そういう方面に気が利かない。
家では、ずっとマンガを読んでいたと思う。
子供の頃は「マンガが友達」という人は多いと思うが、自分は「マンガだけが友達」だった。
近所の子供と遊んだことは、ほとんど無い。
そして、ベッドに入ってからは空想に浸っていた。
自分が作った物語を、何回も何回も頭の中で再生して楽しんでいた。
──ということで、話の都合上、そろそろ、
「そうしているうちに子供の頃の自分は幽霊が見えるようになって──」
という流れになりそうだが、あいにく、
「子供の頃はマンガばかり読んで空想にふけるガキでした」
というだけ。
むりやり、この話にイイ感じのオチを考えると──
──そういえば、孤独や闇に恐怖を抱くようになったのは、ここ数年のことだ。
それ以前の自分は、「恐れる」ことなど無かった。まるでなかった。
ひょっとすると──「自分は孤独ではない」という幻想が、孤独や闇に恐怖を感じさせるのかも知れない。
──オレは綾波か。