〈潔癖症〉と〈ケッペキショウ〉

世の中には潔癖症の人がいる。

TVやインターネットなど(わー、うさんくさい情報ソース)で、〈自称ケッペキショウ〉の人が、

「私、ケッペキショウなんですよー」

などと話している。以前から不思議なのは、上記のようなことを〈うれしそうに話す〉ひとが多いことだ。

仮にも「〜症」というくらいだから、病気の一種なのだろう。自分が病気であることを楽しげにアピールするとは、これ如何に?

「私、大腸癌なんですよーw しかも悪性 ワロス wwwwww」

などというひとは見たことがない。

──と、ここで気がついたことがあった。ここ数年の〈病気ブーム〉だ。ちまたでは〈病気の話〉が流行っていて、病気を特集したTV番組が人気だ。病気のためのグッズも飛ぶように売れているらしい。

「え? 〈健康ブーム〉の間違いでしょう?」

という人は、本当にそうか、もう一度世の中を見渡してみよう。はたして、流行っているのは病気の話か健康の話か──。

病気の話がメジャになってきて、病気も一段と軽く扱われるようになった。かつて深刻だった〈鬱病〉。──字面だけ見ても気が重くなっているが、最近は〈うつ〉と何だか軽やかな、2chのAAキャラの名前のようになった。〈プチうつ〉などという、フロイトのおいちゃんがひっくり返りそうな若手も出てきた。

──ということで、〈潔癖症〉も、いちいちがたがた騒ぐほどのビョーキでもなくなったんだろう。

突然、潔癖症の話を始めたのはわけがあって、同僚の女性、Aさんが最近「あ、ワタシ、潔癖症だから」といったからだ。

昼食の時間、自分は弁当を持参している。ごくたまに箸を忘れることがあって、職場の給湯室にある箸やフォークを借りることがある。──と、Aさんに話して、Aさんにも勧めると「〜潔癖症だから」発言が出た。

Aさんの逸話で思い出すのが、「自然農法で作った野菜は汚そうだから、農薬漬けのほうが安心する」と話していたことだ。

──潔癖症って……。潔癖症のひとって、〈消毒マニア〉、〈殺菌愛好家〉だったりすることが多い、と感じる。



はいはい、オチオチ。

上記のようなことを頭の中でまとめて、いざ書き出すと、別のオチが見つかった。

ATOKで「けっぺきしょう」を変換すると「潔癖性」という候補があった。なるほど。「潔癖、っぽい」みたいな感じだ。世の〈自称ケッペキショウ〉のひとって、〈潔癖性〉が多いのか、とひとり納得(え、中学の国語レベル?)。