子供の頃から鼻が悪い。小学生の思い出の約一割は耳鼻咽喉科の中にある、といっても過言ではない。

いわゆる鼻炎──ということらしい。

冬場は特に鼻水がひどく、常に鼻をかんでいた──というのは過言だが、子供心に「いつも鼻水がズルズルと出てくるのは厭だなあ、恥ずかしいなあ」と思っていた。

小学校低学年までは、病院も近くにないくらい田舎に住んでいたが、高学年になってから「まぁ、以前と比べれば都会」に超してきたので、耳鼻咽喉科か通いが始まった。

耳鼻咽喉科に着くと、まずはトイレに入って、鼻をかんでから診察を受けていた。鼻水を垂らしたまま診てもらう──というのは医者に悪い、というわけではなく、プライドが許さなかった。もちろん、当時、プライドなんて言葉は知らなかった。

その後、改善が見られたので、耳鼻咽喉科通いも止めてしまった。

──というのが無駄な前置き。

鼻が悪いので、ご飯を食べているときに「美味しい!!」と感じることが少ない、というのがちょっとした悩み。

さらに、鼻が悪いことと関連は不明だが舌も悪くて、味もよく分からない、いわゆる「味音痴」だ。

ところが、とびっきり「いいにおい」や最悪に「いやなにおい」はすぐ分かる。とくに、「いやなにおい」には敏感な方だと思う。部屋に入ったときの、空気の違いもよく分かる。

さらに、自分の体臭に関しては、非常に気になる方だ。ナインティナインの『ナイナイサイズ』で女性タレントが「健康にこだわっている」ので「風呂に一日二回入る」ということで、観客が驚いていた。──ハタチくらいから「風呂に一日二回入る」のを「当たり前」にしてきた自分は、何が驚きなのか分からなかった。「風呂に一日一回しか入らない」なんて、自分には耐えられない。

ようするに、「最高にいい」「最悪に悪い」の中間にある「どうでもいいにおい」には鈍感、ということだろうか。味に関しても、普段から「どうでもいい味」の物しか食べていないから、「味が分からない」と感じるのかもしれない。

世の中には「どうでもいいこと」が充満していて、いちいち気にしていると疲れるのでフィルタリングされている──ということだろうか。

そうだ、そういうことだ──ということで(話がこれ以上ふくらまないようなので)終わり。