電車で美人を見る

名古屋からの帰り、電車は満席だった。仕方なく入口付近に立つ。

こういうとき、自分はできるだけ「きれいなひと」の前を選ぶ。
自分は、できる限りきれいな映像を見て過ごしたい。電車の中は障害が多い。


今日、前に立った人はめちゃめちゃ美人だった。
LVのバッグとストールがイヤミにならない着こなしで、肩までのストレートヘアも手入れが行き届いている。


──と、そういえば顔が余り見えないことに気が付いた。
横を向いているからだ。髪で顔が隠れている。扉に付いたガラス窓の外を見ているのかと思ったが、完全に真横の壁の方を向いているので、見えないはず。

要するに、自分に対して完全に「見たくない」という態度に思えた(自意識過剰)。


そこまで完璧な武器(髪)と態度で守られたら、仕方がない(何がだ)。
と思っていたら、降りる直前に謎は解けた。あまりにもきれいな瞳の下の方で



鼻水が垂れかかっていた。



早く、温かくなるといいですね。