【散文】闇夜の美しさ
夜は美しい。涙が出てくるよ。
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』という映画が大好きです。
(トム・クルーズ×ブラッド・ピットのほも映画)
この映画の中で、
ブラッド・ピット演ずる人物は、初めて吸血鬼になった夜に、
「夜の美しさに涙が出た」
みたいなことを語っています。
──わかる! わかるなぁ。なんとなくだけど。
会社で面倒なこと・ツラいことがあっても、
帰り道で夜の闇が目に入ると、とたんに癒やされる。
子どもの頃、「影ができる」と思っていたのが、じつは
「もともと宇宙は闇で、光が闇をどけているだけ」
というトリックを知ったときに、かなり驚きました。
「なんだ、そもそも世界は闇が支配していたのか」
と子ども心に理解する。
そういえば、子どもの頃から夜・闇はコワくなかった。
むしろ、落ち着く。安心する。
小さな頃から片親で、母親は夜の商売で働いていた。
だから、いつも夜はひとりでした。
寝る前に部屋の明かりを消して、
ベッドのライトだけで読む『ドラえもん』の、
なんと面白かったことか……!
夜は友だち、こわくないよ!
そんなわけで、ワタシは闇の住人になりたい。
『インタビュー』の中で、
「人の生き血を吸って生きたいのか!」
と吸血鬼になることの過酷さを訴える場面があります。
ただでさえ、「ワタシ」が生きているというだけで、
「恵まれない人たち」の何人かを犠牲にしていると聞く。
そうやってチクチクと突っつかれるように生きるくらいなら、
赤の他人の首筋に歯を立ててでも、何千年と生きてみたいなぁ……。