みんなみんな「自分が正しい」

人は皆「自分は正しい」と思いながら生きている。

後で「あの時は自分が間違っていた」と後悔することがあっても、「あの時」は正しいと思って行動したはずだ。

そして、後悔している最中は「いま後悔することが正しい」と思っている。



というのも、もろく壊れやすい心を持った人間という生き物に、

「私がいま行っていることは間違っている」

「私がいま話している内容は間違っている」

なんて思いながら、ずっと生きることは不可能だからだ。



例えば、嘘をつく人がいる。

その人は嘘をつきながら「自分が嘘をつくのは●●のためで、いま嘘をつくのが正しい」と思っている。

例えば、浮気をする人がいる。

その人があとで後悔することになったとしても、愛人と会っているときは自分のことを正当化している。



ただ──ふと、「私は間違っている」と思い続けながら生きている人を想像してみる。

──その人は、一体どのような精神構造をしているのだろうか?

はたして、その人は「人間」として生き続けられるのだろうか?

──ちょっと、怖くなった。